大阪ヘリポートでヴォロコプター「空飛ぶクルマ」初飛行、200名以上の地元小中高生が見学会に参加
兵庫県は「空飛ぶクルマ実装促進事業」として、県内において空飛ぶクルマを活用したビジネス展開をめざしている事業者の取り組みを支援しています。2023年12月13日、兵庫県と大阪府の連携事業として採択した住友商事株式会社の共同事業者Volocopter GmbH(以下、ヴォロコプター)が、大阪ヘリポートで「空飛ぶクルマ」(電動エアタクシー)の試験飛行見学会を行いました。
「空飛ぶクルマ」の試験飛行を地元小中高生の前で実施
2025年に開催される大阪・関西万博やその後の社会実装に向け、2023年12月13日、ヴォロコプターが舞洲の大阪ヘリポートにて電動垂直離着陸機(eVTOL)「Volocopter 2X」の試験飛行見学会を実施しました。会場には大阪府知事、大阪市長、兵庫県関係者、パートナーおよび協賛企業と、多くのメディア関係者が集まりました。
2023年3月には、大阪・梅田駅周辺で「VoloCity(ヴォロシティ)」の展示会を開催し、また大阪府・兵庫県の小中高等学校で出前事業も行ってきたヴォロコプター。見学会には地元の児童・生徒、およそ200名以上が屋外授業としてこの見学会に参加。未来のモビリティの第一歩となる、その瞬間を共有しました。
吉村大阪府知事も児童らと共に試験飛行を見学
見学会当日、日本初となる有人テスト飛行の実施ということもあり、会場となる大阪ヘリポートには吉村洋文大阪府知事をはじめ、横山英幸大阪市長、大阪府・兵庫県の議員や自治体関係者ら、また多くのメディア関係者も集まりました。
来賓挨拶にて、自身も空飛ぶクルマが実際に飛ぶのを見るのは初めてと語った吉村洋文大阪府知事。見学会に集まった200名以上の小中高生へ「空を見上げれば『空飛ぶクルマ』が自由に飛び立っている──そんな未来社会を実現するために、今、技術者と自治体が一緒になって、熱意をもって取り組んでいる。2025年の万博会場には160カ国以上の国が、社会課題を新しい技術で解決しようと集まる。今日は新しい未来をつくっていく皆さんと一緒に、試験飛行を楽しみたいと思います」とメッセージを投げかけました。
飛行したヴォロコプターのeVTOL「Volocopter 2X」は全長11.3m、全高2.5m、2人乗り。ドイツではウルトラライト級で登録されている、小型航空機です。マルチコプターを備えた「2X」は、離陸のための滑走路を必要とせず、またプロペラが短いためプロペラ回転によるノイズが小さく離陸準備時間も短いため、低い騒音値であると言われています。
ヴォロコプター代表取締役バウアー氏がパイロットの搭乗した「2X」を指し示すと、驚くほど僅かな準備時間の後、スムーズに離陸。風が強く吹く大阪ヘリポートではありましたが、安定した上昇から約5分の飛行を経て帰着しました。「空飛ぶクルマ」が市街地での離発着に耐え得る、と言われる理由を体感出来たのではないでしょうか。
チーフテストパイロットのストーン氏が「2X」から降りると、見学に来ていた児童・生徒達から「操縦は難しいですか」「乗り心地はどうですか」等の質問がありました。「一つのジョイスティックで飛ばすことが出来て、まるでゲームのように簡単な操作」等、パイロットからのリアルな返答に場は盛り上がりをみせていました。
「空飛ぶクルマ」が当たり前の社会へ
ヴォロコプター社は2025年に開催される「EXPO 2025 大阪・関西万博」にて、エアタクシーの運行を実施することになっています。会場となった大阪エアポートは万博会場からも近いことから、単なる見学会では無く、まさに具体的な条件を試すための「試験飛行」として、その第一歩となったのではないでしょうか。
今回の見学会は、空飛ぶクルマ試験飛行時の運航管理や空飛ぶクルマへの理解を深めることで、社会受容性の向上を図ることをねらいとした取り組みとして実施されたものでした。この日参加した多くの児童・生徒が社会人になる頃には、空飛ぶクルマが当たり前のものになるのかもしれません。
兵庫県は大阪府、大阪市、神戸市とも連携し、県と大阪府にまたがる事業については、「兵庫県・大阪府枠」として採択し、補助上限を引き上げて支援しています。今後も、「空飛ぶクルマ実装促進事業」の取組みを推進していきます。
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取材・文/かのうよしこ