
淡路市で「空飛ぶクルマ」デモフライト見学会!ソーラー発電によるクリーンエネルギーでゼロエミッションを体感!
日本初、クリーンエネルギーによる充電で空飛ぶクルマが飛行! 兵庫県内において、空飛ぶクルマを活用したビジネス展開をめざす事業者の取組を支援する、兵庫県の「空飛ぶクルマ実装促進事業」。その中で、2024年度に「関西・瀬戸内エリアにおける空飛ぶクルマの社会実装事業」として採択された一般社団法人MASC(以下、MASC)が、2025年3月2日、淡路市との共催により空飛ぶクルマのCO2ゼロフライト見学会を行いました。
太陽光発電でつながった、淡路市と「空飛ぶクルマ」

2025年3月2日、淡路市役所の駐車場では、MASCが保有するEHang社のマルチローター型無操縦者航空機(EH216-S)が、子ども連れのファミリーをはじめとする多くの市民やメディア関係者など、たくさんの見学者に囲まれていました。機体の展示と同時に、駐車場に設置された電気自動車専用急速充電器による充電が行われていたのです。

午後1時、主催者であるMASCの坂ノ上博史事務局長の挨拶から見学会が始まりました。坂ノ上事務局長は、太陽光パネルで発電された電源から機体に直接チャージした、クリーンエネルギーでのフライトが日本初であることを改めて強調。
「この淡路市での飛行実証が、日本の空の移動革命における大きな前進に寄与すると確信しています。」と力強くメッセージを発しました。

続いて共催の淡路市 門康彦市長は、淡路環境未来島構想の先導的モデルとして淡路市役所に整備した、太陽光発電設備「あわじメガソーラー1」を紹介。この設備で発電された再生可能エネルギーを空飛ぶクルマが利用することに触れ、「真にCO2排出ゼロでクリーンな移動を実現するもの」と語りました。
さらに淡路市が空飛ぶクルマの利活用によって、関西国際空港および神戸空港と瀬戸内海を結ぶハブ拠点になり得る可能性にも触れ、「まちの利便性向上や、新たな事業分野の開拓による地域経済活性化につなげていきたい。官民連携による取組みが、淡路市における空飛ぶクルマの社会実装への接点となることを期待します。」と締めくくりました。
未来を担うモビリティを体感したフライト見学

その後、機体はフライト会場である市役所駐車場向かいの兵庫県企業庁保有の産業用地へゆっくりと運ばれ、午後2時30分、いよいよフライトの時を迎えました。

広い用地の一角、オペレーターたちが見守る先で、離陸の瞬間を待つ空飛ぶクルマ。しばらくして、プロペラのランプが点滅を始めアイドリングがスタートしました。機体はそのまま垂直に上昇し高度30メートルに達したところで、しばらくホバリングを続けた後、直進を開始。空中を滑るように飛行していきました。

40メートルの高度を保ちながら、約300メートル飛行し方向転換。飛び立った場所へ再び戻ると、そのまままっすぐ降下し、4分16秒の飛行実証を終えました。
「垂直に離発着が可能なため滑走路は不要、この機体であれば、数台分の駐車スペースがあれば十分。ヘリコプターと比較しても静音です。自動運転の車と同様に操縦者不要なため、あらかじめルートを指定するだけで飛行させることができます。」と坂ノ上事務局長。
初めて目の前でフライトを見学した市民の方々にとって、空飛ぶクルマが未来のまちづくりを担うモビリティであることを体感できる見学会になりました。
持続可能な社会を「空飛ぶクルマ」でかなえよう

坂ノ上事務局長は「これまで、機体の運搬や充電は、化石燃料を燃やして発電させる電源車を利用していました。機体そのものは環境にやさしい電動であることが特長なので、完全にクリーンなエネルギーで飛行させたいと願っていたのです。それが、淡路市でかなうことになりました。」と顔をほころばせ、クリーンなまちづくりを進める淡路市と共に事業に取組めることを喜びました。
今後の目標として、淡路島から大阪までの移動時間短縮に、空飛ぶクルマで挑戦したいと抱負を語ります。さらに、空飛ぶクルマの多様な活かし方が議論されている現状に先立ち、交通、観光、物流のほか、緊急時搬送への貢献にも思いをはせています。例えば、太陽光は災害時にも力を発揮する可能性が高いエネルギー。しかも滑走路を必要としない空飛ぶクルマなら、離着陸できる場所の限られる島内への輸送や搬送も可能だからです。
将来、観光や過疎地域の交通手段など、多様な分野での活用が期待される「空飛ぶクルマ」。兵庫県では、空飛ぶクルマを新たな産業と位置づけ、県内で部品製造やメンテナンスなど関連産業のエコシステム形成を目指しています。今後も事業者の支援を通じて、空飛ぶクルマとともに県内産業の明るい未来を築いていきます。
取材・文 内橋麻衣子 / 写真 林杏衣子、久保河内瑞香